ユーザー事例・錦明印刷株式会社様  
2色文庫本64ページ面付け
折り丁作業を合理化
お客様
錦明印刷株式会社様
業  種
印刷・企画デザイン業
業務
書籍印刷
用途
折り丁見本作製
機  種
Océ TCS500Extra
文庫本の折り丁確認の合理化を担うOcé TCS500Extra


 生活を取り巻く環境の厳しさと、その変化の速さ。現在の世相を反映して、星座から、八卦(はっけ)、水晶、さらには干支(えと)まで、各種の占いがテレビで高視聴率を上げ、雑誌や新聞にも同様のコラムが掲載されている。
出版界でも同様の傾向が表れ、占いや風水ものの文庫本が数多く発刊されている。これまでの文庫本と大きく違うのは、2色刷りという共通点があることだ。女性を意識した装丁と、携帯性に優れ、読みやすい組みデザインが特徴となっている。

一方では、学参物で使われた暗記事項を赤表記し、赤色透明板をその上に被せれば一時的に文字が隠れることを利用して、記憶を確認していく手法も文庫本の中で盛んに使われている。占いから学参物、実用書などで2色刷り文庫本が発行点数を伸ばしている。

■校正の拠点「錦明イメージングセンター」
 錦明印刷株式会社(東京都千代田区西神田3-3-3、塚田司郎社長)は、各種の書籍印刷を手掛けて長い歴史を持つが、同時に、スピードと正確度を絶対視する出版編集側の校正に応えるため、校正段階での新鋭機導入が繰り返されてきている。
 文庫本の面付けは、64ページ。面付け確認と折り丁見本の作製では、表裏を張り合わせる作業が大きなネックになっている。この工程を大幅に短縮するため、このほど日本オセ株式会社(東京都港区西新宿3-25-1)の高速大判カラープリンター「Océ TCS500Extra」が導入された。

 2色文庫本の折り丁見本作製現場である錦明イメージングセンター(埼玉県和光市中央)を訪ねた。
 錦明印刷では書籍印刷と同時に、FMスクリーンによる世界最小の10マイクロメートルドットを使ったハイビジョン印刷を行っている。通常のスクリーン線数換算で800線相当という超微細印刷を可能にする技術がある。
 この技術を使ってシャープな金属の光沢感や、宝石の輝き、モアレが出やすい服地や建築資材、迫力ある大判印刷物など多岐にわたる商業印刷物の分野でも独自の足場を築いている。

 企画からかかわる場合も、また支給データでの入稿のケースでも、80年の歴史に基づく完全な受け入れ態勢が築かれているのも特徴。プリプレス部門の中核となるのは和光市の錦明イメージングセンターであるが、千代田区西神田の本社内にも同センターのサテライト(分室)が設けられ、営業が取得した支給データのチェックを行うセクションなどがある。印刷工場は、富士見工場(埼玉県鶴ヶ島市富士見)と朝霞工場(埼玉県朝霞市藤折町)の2個所で行っている。

 2工場で使用する刷版データは、本社サイドで朝霞工場と富士見工場で使用するデータを指示し、富士見工場と本社に送られる。朝霞工場へは本社で版面設計したデータをイメージングセンターに送り刷版出力したものが届けられる。富士見工場へは校了データが送られ、そこで印刷機に合わせた刷版データに仕上げCTP出力へと進める。

 これらの校了データ・刷版済みデータは、富士見工場と本社のサーバーに同一のものが「置版データベース」としてバックアップされる。

■幾重ものチェックでミス防ぐ工夫
 まず同社におけるデータの流れを見てみよう。手書きおよびTextデータで入稿された原稿は、MacやWin、ブックスタジオやページコンプなどの専用機で編集され、センターRIPのトゥルーフローやプリナジーで面付け編集される。このときに全体RIPによる直し時の全面ページへの影響を避けるために、RIP後面付けをしているのが特徴である。

 基本的なデータの流れについて画像処理事業部/ICSの北村悟次長は、「基本はPDFワークフローで運用している。これとは別に1ビットデータで動かしているものがあります。アナログ時代のフィルムをデジタル化しているためです。フィルムを切ったり張ったりしていたところをデジタルデータ(1bitTiff)でやっています。これのメリットは触ったところ以外は化けないということです」と説明する。

 リピートが多いという同社の状況も要因になっていて、特に書籍では、本文文章だけでなく、著者紹介や作品タイトルなどの共通で追加訂正が入るもの、掲載広告で毎月使いまわすものがある。そのためPDFデータを張り替え用として作成し、これから1ビットデータを作りサーバーにプールしておき、必要に応じて差し替える。
 こうした流れの中で、文字校正から色校正、面付け確認などさまざまな検査装置などを使用し、校正チェックが随所で行われ印刷ミスへのガードが張り巡らされる。特に、書籍や教科書、カタログ、高精細印刷など世の中に大きな影響を起こすもの、金額の高い商品で刷り直しをしたら損害が大きいものについては、刷り出しチェックも実施する。

 「例えばRIPのバグ、版のキズ、版を焼いたときにデータが飛んでしまったなど、非常にレアなケースでミス印刷が発生することがあります。たまたま法律にかかわる書籍でしたら大変なことになる。ミスの発見は、刷り出しチェックをしない限り無理なのです」

■表裏半自動出力で手作業張り合わせ解消
現場1
デジタルによる訂正部分の確認作業
オセ社の「Océ TCS500Extra」は、同社の2色刷り書籍の、色分けと両面出力の半自動機能を生かした折り丁見本作りにして、出版社に届けられる最終サンプルの作製に使われている。

 4色の冊子などカラー画像を全面に展開した印刷物の校正では、Océ TCS500Extraのカラープリンターとしての機能が十分な活躍をするが、文庫本を軸とした錦明印刷では、同機を2色文庫本印刷のための新鋭機として徹底した使い方を試みる。

 文庫本の平均的なページ数は百ページ強、多いもので250ページ、本文モノクロから2色までといろいろある。同社の場合、月に最低でも20冊が製作される。平均200ページとして4000ページ。校正用として出す部数は2セット。これで8000ページになる。

 2色ということでこれまで同社は、商業用カラー印刷物の色校正として採用しているインクジェットプリンターとDDCPを流用してきた。しかし時間勝負の世界では、時間的に十分とはいえずにきた。インクジェットプリンターではA2を出力するのに約15分、DDCPで6分、Océ TCS500Extraは3分、というのが錦明印刷での計測数字だ。

 「本社と和光の間は、便が1日に3便しかない。朝一番を入れて4本になりますが、それは夜積みのものです。朝一か、昼か、そして本社に4時半に着く夕方が最後になる。その後は本社着6時で、実際にお客さまの手には明日になる。時間のない中で校正を出さなければならないので、コストが掛かるがDDCPで出力をするしかなかった」

 書籍の校正は、折り丁サンプルの状態で届けられる。この場合はDDCP出力の厚い紙を表裏の検討を合わせて手作業で張り合わせることが必要になる。
 「ページ数が多いですから1分2分の時間差を重視して、DDCPで出しますが、張り合わせ作業は紙が厚いから大変なのです。コストの問題もありますから、校正確認として2部出すのですが、1部はモノクロプリンターで出力したもので代用しました」

 オセTCS500は図面の出力用として登場したものであるが、昨春からページ物印刷業者の間で話題となり普及し始めたもので、4色プリントと半自動とはいえ表裏の見当を合わせる両面出力、用紙やインキを含む経済性などが、大量部数を必要とする2色校正で、スピードとコストの面から圧倒的な支持を得るようになった。A5サイズのカラー16面付けで片面40秒というスピードと合わせて、手差し給紙によるが、カットから距離を記憶して裏面の刷り出しを開始する半自動の両面印刷機能が、表裏印刷の張り合わせ作業を不要にするとして歓迎されている。

現場2
一部残るフィルムでの差し替え作業
 「例えば64ページの書籍だと、16ページ折りにして4台、オセなら表裏の印刷をして4枚、ほかのインクジェットでは8枚になり、後で張り合わせなければならない。今まで張り合わせは手作業でしたが、厚い紙を張り合わせたものを折っていくのですから、見当は当然ずれる。Océ TCS500Extraの場合は、薄手紙を使用すればそのズレは許容範囲ということでクリアできる。また張り合わせの作業がないだけ時間がかせげ、早めの本社便に間に合わせることができるようになった」

 2色を含めた文庫本の場合は、面付けが64ページになる。モノクロプリンターで縮小版を出力して、面付けが正しいかどうかを社内チェックした後、Océ TCS500Extraで折り丁見本用の本番出力をするが、もしこれを手作業による張り合わせを経てから折るのだとしたら、至難の業になる。昔は両面の青焼きで対応していたが、カラー色分けを確認することはできない。

 「学参物の文庫書籍や、教科書の副読本など、今はまさに佳境なのです。いくらスピードが大事といっても、厚紙を張り合わせたデコボコの折り丁では、編集者もイメージがつかみきれないでしょう。Océ TCS500Extraによって、時間とコスト、さらにイメージ再現というカラー書籍物の校正を念願かなって改善することができました」


(取材協力:印刷タイムス)